「マネーフットボール」を読む。

サッカー版のグラゼニと聞いて昔から読んでみたかった作品。埼玉育ちでユースからプロ入りした20歳の高卒ルーキーDFが、レンタル移籍のため予算10億で運営する愛媛のサッカーチーム(現実ではJ2だけど、N2と表現されている)で奮闘し、チームと共に成長してプレーオフ進出するという物語。有名選手のそっくりさんも多数登場するし、作者のサッカー愛が伝わって楽しかった。
最後はちょっと打ち切り感プンプンだったけど、自身の稼ぎしか気にせず、チームやサポーターやスポンサーや監督や経営陣など自分を取り巻く人々の仕事ぶりを理解できず、我がままだった主人公が、徐々に周囲が見え始めて選手としても成長してく様が面白い。サッカービジネスの裏側もきちんと描かれていて、興業として成り立たせるためのチーム戦略や緻密なデータに基づくサッカー戦略論、代理人の制度と役割とか色んな立場の人間の思惑がこれまで知らなかったプロスポーツの世界を除いているみたいで楽しい。
しかし、これだけメジャーになってもやはり野球選手と比べると全く見劣りする選手の給料とかを考えると、なかなかサッカーチーム経営って難しいんだろうなと改めて思いもした。昨年からtwitterでえとみほさんという元snapchatの社長で今サッカーチームの広報担当をしている人をウォッチしているけど、きちんと情報開示してスポーツを盛り上げようとしているシーンの動きは今後も追って行きたいなと感じる。