ゼロ年代の想像力

ゼロ年代の想像力

相変わらずヲタをたたきたくてしょうがないヲタである筆者。
この人の惑星開発委員会は大学入った当初くらいはすごく引かれたが(よーするにこの人の煽りに乗せられてたが)何か久しぶりに文章読んでみるとあんま大したこと言ってない気がしてきた。結局優越感を得るゲームに乗ってる彼こそ、自分が最も批判している「自分に都合のいい物語を免罪符つきで摂取しているヲタ」よりもマッチョな思想を持ってるし(さすがにこの回路に対して彼は本文で免罪はしてないっぽいね)、根本的にこの人の「ゼロ年代の物語」とやらの分析の手法にかなり問題があると思った。
まず、時代を表すとされる物語の選択がすっごい恣意的なこと。せめてどれだけ消費されたかの一定の基準を設けて作品を選んで欲しいな。はっきり言って俺が見た・読んだことのあるマンガや映画はエヴァビューティフルドリーマーくらいしかなかった。島宇宙化した現在に最大公約数的に消費される物語がジャンプ系作品ってのは若年層だったらまだ分かるけども、そもそもマンガ・アニメを殆ど摂取しない人だって一定数いるわけだ。ラノベやドラマや特撮映画がさも時代の最先端の物語であるように紹介されるわけだけど、どんだけ一部の想像力だよ!とつっこみたくなる。そして自前の理論に照らし合わせて作品を切っていくわけだけど、残念ながらその姿は他の島宇宙の住民(作品を知らない俺のような)からみたら安易な物語消費をするヲタとほとんど見分けがつかない。ヲタ同士のパワーゲームにしか見えない。そういう読み手を想定してないのかもしんないけど。
そしてもっと前に戻ると、そもそも人間の同時代の想像力がすべて物語に発揮されるわけではない。さすがに筆者も分かってて言わないだけかもしれんけど、例えば俺の家族は仕事人間で無趣味なのでそもそもフィクションの受容が少ない。意味が充足されないでは人間は死に至る病をわずらってるのと同じなのかもしれんけど、仕事であったりスポーツであったりギャンブルであったりボランティアであったり政治であったりの活動にこそ想像力は発揮されている。
そう、別に大きな物語が崩壊しようとしまいと社会を駆動させる行為は常に現在進行形で継続されていて、むしろそれに引っ張られて、ほとんど惰性で人間は生きている。決断主義なんて持ち出さなくても、秩序が崩壊してるわけじゃないんだし(最近じゃ金融不安とかもあって弱まってはいるかもしれんが)、ア・プリオリにその力(権力)に動かされて、そこを超越することは出来ずに生かされてるわけで、彼の理屈の強度は弱いと思う。
そして、あえて生きること(共同体に所属すること)がそんなに誰にでも出来る態度だと思えない。デュルケムの自殺論じゃないけど凝集性の高さから死を選んでる人も相変わらず増加してる。思考停止した心地いい消費をするヲタが気に入らないみたいだけど、わざわざ誤配の多い空間に積極的に居ようとする修行僧みたいな人はいつの時代だってマイノリティだっただろう。要するにこの人のアジは「ヲタどもよ、スイーツみたいな嫌いな人と喧嘩していけ」ってことだろう?住み分けできないようならなんで社会なんてあるのか。
そして何より、時代性だけで物語を語るという鑑賞法こそ最大限につまらない鑑賞法だと思う。意味だけで作品を語るような貧しい鑑賞もいいけど、取り上げた作品の持つ雑多な情報をもっと繊細に鑑賞(消費ではなく)してみたらどうだろうか。批評家として文を売るにもスタイルはあるだろうけどさ。
しかしまあ俺も久しぶりに乗せられてるなぁwこうやって噛み付かせるのもあえて、とか言い出したらホントに宮台さんみたくなっちゃうよ。

お次はこれ。ホントーにつまらんね。
過去一年くらい見た映画の中でワーストと言えるかもしれない。本当にリアリティのない物語。泣かせようとしてるのに泣けない作りなので笑えないギャグを二時間見続けることと同じようにキツい。なぜ玉木宏はカメラが好きなのか?なぜもてなそうな玉木にメイサは思わせぶりに近づくのか?なぜメイサの取り巻きども(キャラの薄っぺらさに寒気がする)は登場しとして恋愛に絡まないのか?ウェルメイドな記号を配置して泣かせる仕掛けを作ってるつもりでその構造に穴がボコボコ空いてるので俺としてはとても感情移入できない。お決まりだけど宮崎あおいは伏線通り死ぬし、面白いと感じる切り口が全くない。登場人物すべてがおバカさんにしか見えないブラックコメディ。
さっきあげた島宇宙の共同体じゃないけど、これ見て涙が流れる思考回路が確実に存在する、喧嘩しようにも別の次元に存在するとしか思えない行為者が日本にいるっていうのはなかなかシビアな問題だな。日本語は使える前提はあるけど、どうやったら対話はできるんだろうか。

テレビつけたら始まるとこだったので何の気なしに見てた。いや、やっぱり若くて太ってないマーロン・ブランドは美しいね。ちょっと戦艦ポチョムキン思い出させる反乱ストーリーだったけど。そういや首謀者が死ぬっていうのもそうだな。ただ結末がまったく逆になるのは面白い。前者は革命は頓挫し愚鈍な乗組員はタヒチで怠惰な生活に溺れるんだろうけど、後者は反乱が波及していく…みたいな話だよね。とりあえずブランドの衣装と姿に萌えるだけでも楽しめるかな。

一昨日は池袋の灰汁美へ。ラーメンデータベース見て分かったけど閉店するんだねここ。味はまあまあだったかな。700円にしては結構麺の量も具も多くてよかったんだけど、麺がちょい柔らかかったのがマイナス。あぶったチャーシューとか魚介っぽいスープに葱たくさんってはかなり飽きさせなくて良かったんだけどね。ラーメン界は栄枯盛衰が激しくて趣味にするにはチェックが結構大変だな。