連日飲んでるというリア充状況であまり文化的なものに触れられていないが、ジョージ秋山の「銭ゲバ」を読む。このタイミングでドラマ化される理由が良く分からんけど、昔から読んでみたい作品だったので。昔は唐十郎が演じてたらしいが、松山ケンイチくんはどうなんだろう。

銭ゲバ 上 (幻冬舎文庫 し 20-4)

銭ゲバ 上 (幻冬舎文庫 し 20-4)

ちなみにドラマ化する作品ってマンガならこういう上下巻でまとまるくらいの長さがいいと思う。日本の雑誌のシステムの弊害からくる長期連載のマンガ(作品としての質がどうしても落ちちゃうよなぁ…)を映像にしようとしてもかなり無理があると思うので、もっとコンセプチュアルな短編をさくっと映像にしていけばいいのになと。てか、せっかくならホリエモンとかそれっぽい人が騒がれたときにこれ映像化すればもっと視聴率取れたんじゃないか?

実際の作品に関しては、後半がかなり間延びした印象。コマ運びがおかしなことになってきて場面と場面のつながりが読みにくい。あまり必要のない人物が入れ替わり立ち代り銭ゲバこと蒲郡風太郎に接してくるけど、ほとんどストーリーが拡散してしまって、ラストに至るまでのカタルシスにつながっていない。前半部分の大きな要素だった公害問題に対するオチもうやむやになってしまってるし。

まあ「罪と罰」みたいに最終的に愛の力によって銭ゲバが人間的に再生されるという構造よりは良いかもしれないけど、「産業界から政界にも進出してこれから」という時に物語が終わってしまい、何か尻切れトンボになってしまった感がある。まあでも今ではこういう露悪的な「キャラ」も「ベタ」なキャラに回収される事態になりつつある。
ただ、銭ゲバは情の無い鬼畜で人間じゃないのだというような描写よりも、人間的すぎるからこそ銭ゲバになるというのはもうちょいうまく見せたほうが面白くなったんじゃないかなと思う。

後、難点は絵が下手すぎる。線がヨレヨレだし、背景もかなりお粗末だし、蒲郡が子供から大人に変わっていくときにもまったく外見的な特徴が変わらないので読みにくい。記号的に美人とそれ以外の女性とかは認識できるくらいの書き分けだけど、描写部分にもっと力を割いてほしいな。