何となく図書館で借りたブーンドックスを読む。

ブーンドックス

ブーンドックス

期待してたどおりの読み応え。それはいい意味でも悪い意味でも。
ブラックなジョークがオンパレードで、2000年代前半のアメリカってこんな雰囲気だったんかなーと振り返って読んだ。作者は基本的には民主党支持で反ブッシュなんだろうけど、極左的な主人公のヒューイをも結構ギャグの対象としてるのである程度バランスは取ってるのだろう。まあ、そういうポーズを取りつつ実際にヒューイみたいなことやってみたいのかもしんないけど、今ちょうどフーコーに関する本を読んでるのもあって今の社会にそういう抑圧されたマイノリティによる権力闘争やるのってかなりナンセンスだと思う。
ヒューイ自身が、革命の敵はペンタゴンだけじゃなく大企業による囲い込みだ、みたいなこと言ってたけど、もっと掘り下げる点はヒューイ自身の志向でもある。権力の網から離れた地点から言葉を発することはできない。もっと自分の「生」自体に視線を移して、どういう権力が自分を形成し、自分の考え方に作用しているかを慎重に調べてみる作業をしないと、「おんたこ」のように敵もいないのに敵を仮想して自分のポジションを落ちつけてる人になってしまう。それはヒューイ自身が皮肉を言っていた、ブッシュが戦争をふっかけた時の理由(アメリカは悪いイラクを成敗する!みたいな)にヒューイ自身がダブってしまって本当にナンセンスだ。それも含めてギャグにしてるのなら作者の力量は凄いけど。


また、ブラックカルチャーに関するツッコミが多くて好きな人なら楽しめる。パフ・ダディ(今は何て名前だっけ?)とかはめちゃひどい言われようで、噂には聞いてたけどアフロアメリカンからはそー見られることが多いんだなと改めて思う。
ビジュアル面では、絵柄はかわいらしいけどもうちょい遊びの部分があっても良かったんじゃないか。作者も影響受けてるらしいが、ザ・ピーナッツ的なリズムも日本のマンガにないリズムで良くも悪くも違和感あるし。吹き出しを読む順番がおかしかったりとかね。