ラストタンゴ・イン・パリ」を観る。

退廃的で虚無感に満ちた映画。常に曇天のパリを舞台に、嫁に自殺されたうらぶれた中年男(マーロンブランド)と、一応フィアンセがいるけどもいまいち踏ん切りがつかない若い女(マリア・シュナイダー)が先の見えないセックスを楽しむ。だけどもそういう刹那的な関係はすぐおわってしまうという教訓にも読める映画。

本作でのポイントはお互いの素性を明かさないところ。ピロートークでお互いに他愛の無い昔話をしてふざけ合ったりするのだが、名前などの固有名詞を出すことを男が禁止する。合う場所もマンションのだだっ広い空部屋に直接マットレス(?)を敷いて、ことが終われば出ていく。
ただ、男の素顔は亡くした嫁に未練タラタラで、女の素顔はアホっぽい男にちょっと愛想つかしていてる。ただ、女のひとつの決断によりそんな割り切った関係性に終止符が打たれると、次第に男が女を追い詰め、征服しようとし、関係性が壊れてしまうという。

冒頭シーン、出会ったばかりでただ同じ部屋にいたというだけで(「だけ」ではなく、二人が引き寄せあったというべきだろうが)、何も言わずその場でおっぱじめたときはちょっと吹いた。