「トールマン」を観る。

トールマン [Blu-ray]

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面白かった。何かどんでん返しがあるんだろうなーと思いつつ見てたけど、2、3転する物語にぐいぐい引き込まれる。炭鉱が閉鎖され、荒んだアメリカの片田舎に伝わる、「トールマン」という子供を誘拐する怪物のような言い伝えの犯人を明らかにしていくというお話。かといって、決して怪物が街の住民を殺して回るホラーアクションではない。ホラーもアクション要素もなくはないが、本体はなかなか心をえぐるサスペンスものだ。
ウィンターズ・ボーン」もそうだけど、こういうアメリカのドロドロした人間関係と陰鬱で荒廃した風景って面白いなーと思う。

ネタバレになるけど、途中で物語の語り手が入れ替わったり、被害者だと思われた人間が加害者であったりと、とてもよく練られていて面白い。ただ、最終的な「トールマンがなぜ子供を誘拐するか」の説明はちょっと強引すぎる気がしないでもない。いや、心境として貧しく、家庭環境が崩壊した子供を救うためっていうのはわかるんだけど、こんなあからさまな誘拐じゃ絶対足がつくと思うんだが…。「貧しかろうと私は子供のためなら死ねるわ」と語るホームレスの母親の一言につきるというか。あまりにも独善的な行為にすぎるし、子供を親から引き離すっていうのはとても難しい判断がいると思う。だから、結局トールマンは罰されて当然かなーと思う。ただ、こうやって社会問題にまで絡めてサスペンスを組み立てられるってのは素直にリスペクトする。