「お金の正しい守り方」を読む。

お金の正しい守り方 日経プレミアシリーズ

お金の正しい守り方 日経プレミアシリーズ

まさしく、お金の正しい守り方を考えたくて読んでみた。読んでみてちょっと残念だったのは、この著者、人のこと言えないけどあんまり文章がうまくない。学術書じゃないし、厳密な記述を求めてるわけじゃないけど、「私の知り合いにこんな人がいて〜」とか「私が聞いた話では〜」みたいな個人的な印象論や、客観的な数値データに基づかない記述が多い。あと、「ポートフォリオを組み立てるのは、野球チームと同じ」みたいなことを言っていて首をかしげてしまう例も多い(対戦相手をよく研究し、臨機応変に監督は選手を入れ替えるから、というけどそんなに当てはまらないと思うんだけど)。参照文献もほとんどない。お金の守り方も常識的な範疇の記述に終始しているというか、「いつまでにどれくらい金がいるか逆算して運用の計画をする」とか「リスクをきちんと考え、ハイリスク・ハイリターンよりローリスク・ローリターン」とか「相場に左右されない、絶対値の収益を目指す」「高度な経済統計や金融工学を駆使しても、結局運用に求められるのは人の判断力になる」とかね。一応名前だけは知っていたウォーレン・バフェットも、漠然とした期待や主観を徹底的に取り除き、買いと売りのルールを厳格に定めて「持続的に成長できて、競争力があり、(社会にとって)欠かせない事業を持つ企業に投資する」という割と堅実な投資家だったらしい。
とはいえ学んだことも多いので、メモとして記しておく。もうちょっと勉強した後で、堅実な投資ならやってみようかなーという気になっている。
・欧米の富裕層はファミリー・オフィスというプライベートな資産管理会社を作り、実業と資産の管理を分け、資産は株式、債権、不動産、ベンチャー・キャピタル、ヘッジファンドなどそれぞれの専門家が運用を担当する例が多い。日本の富裕層は投資するよりも貯蓄したり、スイスノプライベートバンクなどを利用する例が多かった。
MMF(マネー・マーケット・ファンド)という公社債を中心に投資する投資信託があり、エンロンワールドコムの会計不正疑惑が起こったときのような例外をのぞいてほとんど元本保証に近い。
・「為替リスクは経済のブロック化、地政学上の問題が絡み合う複雑な要因に加え、貿易構造や通貨の受給関係にも大きく左右される。さらに各国中央銀行の金融政策、各国財務省の財政政策も強く影響する。」わかった、俺の人生においてそんなに研究する時間さけないから為替はやめとく。
・「市場には発行市場(プライマリー・マーケット)と流通市場(セカンダリー・マーケット)がある。企業が新たに株式や債券を発行して投資家を募るのが発行市場である。発行後、取引ルールに則って証券として売買される市場が流通市場(証券取引所)である。」
・株式や債券など分散投資することをアセット・アロケーション(資産配分)という。
・株式の場合、「グロース投資」と「バリュー投資」という手法があえう。グロース投資では、既に好調な分野でさらに成長する企業に注力する。バリュー投資では現在はあまり人気がないが、将来性がある割安銘柄を発見することを目指す。
投資信託は、無駄に高い手数料払って人任せに運用する、「自分で考えたくないけどお金増やしたい怠け者」のための投資だと思ってたけど、運用のプロの知識をちょっと舐めてた。手数料払うだけのメリットがちゃんとあるのね。