ノー・マンズ・ランド」を観る。

ノー・マンズ・ランド [DVD]

ノー・マンズ・ランド [DVD]

カンヌ国際映画祭受賞作は自分にとって外れ案件の少ない優良物件なのだが、本作はちょっと外れた。つまらなくはないけど、人にお勧めはしにくい。ボスニア紛争を舞台に、相対するタイミングがちがければ友人になっていたかもしれない二人の男の姿を通して、戦争の愚かさを描いた作品、とでも銘打った方がいいのだろうけど、ちょっと肩すかし。
戦争を描いた映画は数多い。「プライベート・ライアン」だったり「プラトーン」だったり「野火」だったり「フルメタル・ジャケット」だったり、それぞれが特筆すべき圧倒的な描写を持ち、観たものはしばらく自分の生きている空間が空虚に感じられるくらいの喪失感を味わう位の力があるが、本作には感じられなかった。感じないこと自体は別に悪いことではないが、前述した作品たちに比べると間延びした感じは否めない。評価するポイントを挙げるしたら、戦争の当事者に「報道するもの」つまりマスコミが参画していることだろうか。高校の時に読んだ「戦争広告代理店」の影響が強く、まさしく民族浄化運動を推進した力の一つにマスコミの報道の影響は強かったのだろうと思っていて、その臨場感を感じられるのは個人的には面白かった。人を殺すという現場について、「それをどう見せるか」という意識が働く点において。
ただ、意識高い観客じゃないと、本作は地味すぎて楽しめないだろうなーと思う。
特に、ラストシーンの間抜けさは何なんだろう。あんな死に方をする兵隊がいるだろうか。滑稽な描写によって反戦の意を表しているのだろうか。少なくとも、一映像作品として楽しい作品には仕上がっていなかった。