神林長平「いま集合的無意識を、」を読む。

何となく現代の日本のSF読みたいなーと思って手に取った一冊。伊藤計劃とも関係がったとかでそれも興味持ったポイント。そこそこ楽しめた。数十ページの短編集になっており、収められた作品は90年代から東日本大震災以後のものもあるが、それほど古さは感じなかった。ネットに関する描写は攻殻機動隊的というかマトリックス的というか(どちらが先か、とか厳密に知らないのだが)仮想現実にダイブするみたいな描写が楽しめた。特に面白かったのは自我を持ったロボットについて描かれた「自・我・像」と、多元的な世界を匂わせる「かくも無数の悲鳴」が面白かった。前者はちょっと前に読んだ漫画「デモクラティア」、後者は「トゥルーマン・ショー」を思わせた。やはりこういう世界の見え方や解釈の仕方が変わるような、自分の平衡感覚を揺らがせるようなSFが好きだ。