「見知らぬ国のスケッチ」を読む。

傑作「アライバル」の裏話・制作譚である今作。アライバルに惹かれた人なら絶対楽しめるはず。著者がアライバルの世界観を鍛え上げ、膨大なイメージやエピソードを取捨選択して練り上げた過程がわかり、クリエイターなら教師であれ反面教師であれ参考になるであろう一冊。
本書に収められているのは、史実である移民のポートレイトやNYのエリス島移民博物館のような歴史的な写真を基に構築したイメージや、自分の友人たちに協力してもらって写真に収めた印象的な場面の一部だったり、自身が飼っているペットのインコを基にした幻想動物のスケッチをはじめ、「作品の世界の中で適切な進化を遂げた」建築や植物、動物などの形態を思考錯誤してる様子が記録されている。中にはスケッチで飽きたらず、著者本人が作った模型の飛行船だったり、自身でアルファベットを解体して作りだした独自言語に及ぶ。やはり、作品作りってこうやって、「表現された部分は氷山の一角」くらいに練りこまれた表現の方が個人的に面白がれるなーと思った一冊。