伝奇集 (岩波文庫)

伝奇集 (岩波文庫)

ついにボルヘスを読んだ。ガルシア・マルケスも次は読んでみようかな。ラテンアメリカっていうと俺の中ではそのひ暮らしに生きて(ノーカントリーとかガルシアの首の主人公たちってメキシコとか南に逃げてなかったっけ?あと見田宗介も時間に関する認識の違いとかで南アメリカを挙げてたような気がする。メキシコなんだろうか?そんな映像のイメージ)、緻密な理屈をこねてるような印象はないんだけど、この人の文章は簡潔だけどかなりかっちりしてると思う。幻想的とか言うからちょっと乱歩みたいなものとか想像してたけど、全然違う。構成とかは短編だしよく纏まってると思うものもあるし、随筆みたいな引用のむちゃくちゃ多い意味がさっぱりわかんない文章とかに分かれた。特に面白かったのはやはり評価の高い円環の廃墟とかバベルの図書館あたりだろうか。前者は典型的な胡蝶の夢みたいな話だし、後者は宇宙を言語で記述したとしたらのメタファーなんだろうか。とにかく思弁的でおおらかさのない文章で、頭が冴えてくるいい読書が出来た。

んで次はこれ。「皇帝」は読まずに返しちゃったんだけど、すっごいどろどろした怨念に満ちた短編集。作者の性癖と結びつける読みはすごく嫌いなんだけど、やっぱこの人鬱屈とした20代を過ごしたんだろうな、と思う。どれを読んでも気分は冴えない。真摯に、丹念に破滅していく様子を描いているように思う。主人公たちに一切感情移入させないし、彼らの社会の関わりはぎりぎりのところで成り立っていてすごく危なっかしい。うまく書けないけど、彼らの美意識は三島由紀夫の「金閣寺」に近い感触を受けた。構造やぎりぎりの均衡を美と捉える感覚というか。

情報環境論集―東浩紀コレクションS (講談社BOX)

情報環境論集―東浩紀コレクションS (講談社BOX)

これは三部構成に分かれてて、最後のキーワード集や表はあまり分かった、という感触がなかった。中盤はF・K・ディックの「ヴァリス」に描かれサーバースペースや主体と世界の関係をフロイトとかジジェクとかの色んな情報に関する言及をあげて論じているんだけど、分かったんだか分かんないんだか微妙だった。読んでて超楽しいとは思わなかったな。最初のが平易な文で読みやすかったし、安全という人間の根源に関する欲望が駆動して監視社会を形成していってるっていうのが納得も出来たし面白かった。数土直紀の「自由という服従」とも変奏しているテーマなんだと思う。出来るだけ頭を使わずにすむ環境を作りたいんだな人間は。いくら70年代のカリフォルニアの精神を受け継いだハッカーが情報に対する技術を武器に広げたインターネットやユビキタスな社会を広げても、行き過ぎた発展によって何の知識もない俺のようなものもネットワークに簡単に参入できるようになってしまった。知識の偏りがすごく激しい。だからといって簡単にネットの強者にはなれないけど、便利さと共に責任や失ったものにも目を通しておかなくてはならないと思った。この辺は今後の人生の方針にも影響してくので、自分なりに学習を深めていきたい。

dummy

dummy

今更だけど良すぎる。ドープなトラックに細くて儚げなボーカルが乗る。デヴィット・リンチの映画にdummyが使われてたらしい。聴いてるとひんやりする。アルバム全体を通して陰鬱でこれがブラーとオアシスが鎬を削ってた94年頃に出て売れてたと考えると当たり前かもしんないがイギリスのシーンの幅広さに驚く。その後全然曲を出さずに今年は動き始めるみたいだけどどんな風に復活するんだろうか。情けない復活ならやめて欲しいものだ。

今日は高円寺に行ってすごろく屋っていうボードゲーム屋に行く。何か世界中の変わったゲームがあって楽しかった。ぜひまた生きたいし、ああいうゲームデザインって楽しそうだと思う。グリードアイランドを作った冨樫も設定とかすごくワクワクしながら作ってそうだし、仕掛け作りって夢が広がるよなぁ。その後自由空間行って皆で実際にプレイ。盛り上がってよかった。最後はつけ麺屋大臣で締め。なかなかの一日。