ボディ・アンド・ソウル (河出文庫)

ボディ・アンド・ソウル (河出文庫)

初の古川日出男作品「ボディ・アンド・ソウル」を読む。
久しぶりに比較的新しめの小説を読んだけど、読書感が変わる位面白かった。うん、この文体はとても好きだ。作者のテンションの高さ(高いように見せてる部分もあるんだろうけど)と思考過程を短いセンテンスや体言止めみたいな技術を駆使して物語るようなスタイルで、文章の喚起するイメージが絡みつくような感覚で迫ってくる。読んでるページの3ページ先とかは現在の読んでる箇所とほとんど関連が無いような、「今読んでるそこ」の物語。構成とかはほとんど無いに等しいし(色々計算してんのかも知んないけど、筋書きを説明してみて、って言われても出来ないような物語)、物語の始まりと終わりも良くわかんなかった。でもページを繰らせる力がとにかく強くて、正直言うとストーリーがなくても読める気がする。この感覚はケルアックの「地下街の人々」に近い。
350枚を超える分量でそこそこ長いけど、3時間くらいでザクザクと読めたし、スリリングな体験が出来た。なんというか、読んだ後周りの景色が変わって自分もテンション高くなる感じ。地下街の人々は2日くらいでばーっと書き上げたらしいけど、この作品ってどういう書かれ方してんだろう?連載の形式取ってるみたいだから本文は切れ切れになってたんだろうけど、文のテンションを繋げるの大変そうだなーと思う。

ほとんど作者を投影してると思われるキャラと亡くした奥さんが入り混じった奇妙な一人称で約一年間の思考の足跡を文章にしているんだけど、やっぱり力強い肉体的な文章だ。小説家はアスリートだっていう記述が出てくるけど、この人はマジでそういう書き方してんだろうなーと感じる。格闘技やったりして体鍛えると書く文章も変わっていくとかインタビューで言ってるみたいだし。
んでも作品のテーマでもあると思うけど、物語るという行為は結局どういう作業なんかねぇ。イメージがあふれ出て来てそれを形にするのが間に合わないくらい物語の断片が湧き出てくるような書き方が多いけど、それを社会にどう還元していくかもすごく考えてる人だと思う。元々演劇やってたけど小説に表現媒体移したのもそういう意図かららしいし。演劇だとイメージの具現化に役者とか舞台とかの必要なコストが多いしね。小説は紙があれば書きとめられるし。朗読会とか音にこだわった作品の発表もしてるみたいだけどね。本にCDつけようか、とか。音と言葉とイメージをポリフォニックに聴衆に届ける感じ。すごく興奮するなー。何かそういう創作の思考過程がとても面白い。俺自身は創作に向かない体質だってことは分かってんだけども、こういう仕掛け作りを考えるのは楽しいんだよなー。書きたいことがまとまらないけど、あえて事前にまとめずフルカワヒデオ風に書いてみた。
この人、他の作品もこんな感じなんだろうか?とりあえずもう何作か読んで見たい作家が出来て嬉しい。

Bitches Brew

Bitches Brew

最近はあたらしい音源を仕入れるスピードが半端ないけど、これはよくよく味わってみたくなるすげー作品。同時にmilestoneも聴いたけど、ちょっと騒々しくてこっちの暗くてスピリチュアルな感じが好みだなー。とにかく不気味で変な構成した曲が脳を刺激する。フェンダー・ローズの音がホント好きだな俺。
すごいテクニックでもってこの曲たちを形にしてるんだろうけど、それを聞き分けるだけの耳がないのはちょっと残念。でも、使われてる技法を知らなくても、音楽を楽しめることは出来るという立場なので、変に引け目を感じずにこのアルバムかっけーと言いたいね。

Santa Fe 宮沢りえ

Santa Fe 宮沢りえ

以前、月刊太田莉奈のレビューしたような気がしたんだけど、自分のブログ検索してみたら出てこなくて驚く。結構褒めたような気がしたんだけど、俺の記憶違いかな?
ま、サンタフェ見たのも最近でもないんだけど、ちょっと期待外れだったので記そうかと。伊集院光とかが「サンタフェの頃の宮沢りえさんがどうの…」みたいに言ってるとおり、この写真集の凄さを証言する人が友人にもいるのでどんだけすごいのかと思ったけど、そーでもなかった。いや、悪くは無いんだけどさ。
もっと後光が差すような肉体美を想像してたんだけど、背がそれほど高くないからなのかスタイル超抜群って感じでもないし、肉付きは今より良いけど目を見張るような美しさは感じない。あと、髪型が時代がかってるのがかなり減点。ロケ地もそれほど素敵だと思わないしな。
何で皆これをべた褒めすんだろう?これに関しては好みの違いを超えてる気がすんだよな。