ザ・マジックアワー」を見る。まー面白いけど三谷監督の過去の作品の方が良かったかなーという気がしなくもない。
佐藤浩一が何回もナイフ舐めるシーンとか笑える場面も割とあったしエンターテイメントしてると思うけど、三谷監督の得意技”長回しの会話の面白さ”があまり今回無かったのが残念。ストーリーが全体的に破天荒すぎたような…。
似た作品で言うと、ジョン・ランディスの「サボテン・ブラザーズ」だろうか。

まぁでも見てて感じたのは、役者がうまいということ。
あまり演技のうまい下手って分からないけど、この佐藤浩一なんかは「下手な演技」というのをうまく演じてるからすごい。役者としても面白いんじゃないかな、こういう役は。とりあえず次回作では会話劇を期待したい。

虹ヶ原 ホログラフ

虹ヶ原 ホログラフ

浅野いにお作品、「虹ヶ原ホログラフ」。amazonのレビュー見てると他の作品とはずいぶん違うようだけど結構楽しめた。なんというか理詰めできちんと読者に物語を伝えるための鍵を提示してるから難しい話って感じでもない。時間軸が色々交差してるけど何回か読めば大体理解できる。
読んでて感触が似てるなーと思ったのが高橋しんなのだが、アシスタントやってたと知ってめちゃくちゃ納得。モノローグの多さとかCG使った作画とかすげー影響受けてんな。幻想的な雰囲気作りもなかなか良かった。サイカノに通じるセカイ系の作品と言っていいだろうな。カタストロフこそ描かれないものの最終的にセカイは終わってしまうし。ただ、そうなると鈴木アマヒコの老人ヴァージョンはなぜその年まで生きれたのか気になるが。じっくり読めばそこも分かるのかも。

次はあびゅうきょの「絶望期の終わり」。これも漫画的に結構実験的な面白いことやってる作品だと思うけど売れないだろーなー。コマ割に動きが無くて何か読んでてぎこちないし。
ストーリーは写真をトレースしためちゃくちゃ緻密な書き込みの背景に美少女が載って、毎回影男といわれるダメ人間をひたすら叱咤するというもの。叱咤するというより、「あえて」社会にコミットするのではなく価値(だいたいはお国のために、みたいな)にコミットしなけりゃ人は生きてけないんだよバカ、ってアジられる感じだろうか。
やっぱこれは影男と相似形にあると思われる読者層に向けていってんのかなぁ。
だとしたら余計なお世話だよという気もするが…。